末木文美士『日本宗教史』(岩波新書、2006年4月)
中学時代の恩師からの年賀状に、「今年は明治の廃仏毀釈についての本を読む」とあった。それが頭にあって、本屋で目についたこの本を購入。
- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/04/20
- メディア: 新書
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仏教、神道。明らかに日本人の生活は、このふたつのものの広げる網の中にある。ことばの厳密な意味での「無宗教」ではない。しかしそのどちらかを「宗教」として「信仰」しているかというと、おおかたの人は、そうかな? と考えてしまうだろう。それに、儒教やキリスト教だって、「生活」という点では無視できない。もちろんここには、西洋的概念としての「宗教」「信仰」ということばで、それとは全く異なる出自を持つ現象を捉えようとしている、という問題も隠れている。それも含めて、日本の宗教というもののあり方を、やはりざあっとでも押さえておく必要があるだろう。そう、年末になるとうちの親が買ってきてた高島易断の暦とかって、どうなんだろう。あと、陰陽道とか。
この本によれば、記紀神話からして、仏教(と中国文化)の影響をある程度受けて成立しているのだと。「古代の世界観」などというものは、あとからの創作だ。「神仏習合」とは、実は日本の宗教の、そもそものはじめからのベーシックな性格のようなのだ。時代が下るにつれ、仏教、神道、そして儒教、キリスト教の相互的・複合的な関わり合いの中で、次第に「日本中心主義」的側面がぽこぽこと生まれてくる。江戸の「国学」、そして明治の神仏分離、神道の「非宗教化=実質的国教化」へ。この時代に創作された「日本的なるもの」ストーリーが、実際の各宗教間の相互補完的な関わり合いの歴史を覆い隠してもいるのである。
この本と、島田裕巳『日本の10大新宗教』(幻冬舎新書、2007年11月)とをつなげ、現代までの日本宗教史のとりあえずのベーシックな枠組みとした上で、これからさらに調べてみよう。