ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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Bionadeという飲み物のこと

 今年になって、ドイツでBionadeビオナーデ)という清涼飲料水が大ヒット中、というニュースがいくつか聞こえてきた。ドイツ語の授業で触れたついでに少し調べてみたので、この場でちょっとご報告。
 ビオナーデは、1995年に南部のあるビール醸造所のマイスター、ディーター・ライポルト氏が開発した発酵飲料で、90年代終わり頃から知られはじめ、エコ・ブーム、オーガニック食品ブームにのって、2003年の出荷本数200万本から2006年には7,000万本まで急成長。完全なオーガニック食品だというのが売り文句、4種類の味(Kräuter ハーブ、Holunder ニワトコ、Litschi ライチ、Ingwer-Orange ジンジャー・オレンジ)に加えてスポーツドリンクとしてミネラル分が加えられたForteがある。
 会社のサイトはここ。
http://www.bionade.com/bionade.php?usid=475e8dffd3859475e8dffd4021
 この飲み物の肝はなにかというと、ビールと同じ大麦麦芽と水を原料として、ライポルト氏発見の菌を用いて醸造していること、しかもその菌、ふつう生み出されてしまうアルコールを「かもさず」(ここでにやりとした人は、『もやしもん』の読者だ)、グルコン酸というものを発生させるのだそう。熟成させ濾過したものに炭酸を加え、天然の果物やハーブなどで味付けをする。グルコン酸は天然の保存料として働く。有機食品であり、なおかつ原料はビールと同じ。ボトルやラベルもけっこうクール。これでドイツ人の(特にビール離れが進むという若者たちの)琴線に触れたらしい。
 さて、そのヒミツの菌だが、これはKombuchaの菌群に含まれていたものなのだとか。コンブチャ? これは日本の昆布茶ではない。日本でいうところの「紅茶キノコ」だ。若い人は知らないだろうが、1970年代あたりに流行した飲み物(?)で、ぼくが小学生の頃に親戚のおばさんの家に行くとおいてあったのを覚えてる。要は砂糖を加えた紅茶に酢酸菌コロニーを植え付け、そのゲル状の生成物か培養液を食すのだ(ナタ・デ・ココも、ココナツ・ジュースから酢酸菌が合成したもの)。歴史は紀元前までさかのぼるらしい。健康食品なのだが、医学的には効用が認められないということで、日本では急速に廃れた。これが近年、欧米ではやっている。では、それがなんでKombuchaなのか。なんだかいろいろあってとり違っちゃったらしいのだが、それはめんどくさいので省略。なんにしろ、おっ、昆布茶なんてうってるぞ、なんて間違って飲まないように。
 もどってビオナーデだが、いろいろな賞などをうけて、周辺諸国への輸出もはじまっているとか。マクドナルドやIKEAでも採用、と。そういえばある資料によると、清涼飲料部門における2006年のスーパーでの販売数ランキング、ビオナーデは3位だったそうだが、1位はファンタ、2位はスプライトなんだって。なんだかそっちの方がびっくりだ。これ、日本では30年以上前の感覚ではないだろうか。