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谷中央・長橋由理『ドイツ・クリスマスの旅』(東京書籍、1995)

 先日、銀座の教文館で買ってきた『ドイツ・クリスマスの旅』を読み、ながめる。明日は第1アドヴェント、いよいよドイツでもクリスマスの季節が始まる。留学していたフランクフルトのクリスマスマーケットも、かなり大規模なものだった。何を買うってわけでもないんだけれど、グリューヴァインを飲みながら、ぶらぶらしたり、メリー・ゴー・ラウンドを眺めたり。つかのまの滞在者としては、家の中でどんなふうにクリスマスが過ごされているか、実際のところよくわからない。アドヴェントのあいだ街の少しだけ華やいだようすや、家々の窓に飾られているクリスマス飾り、あるいはクリスマス当日の、マーケットも含めて人影が途絶え閑散とした街の寂しさから、なんとなく想像するだけだ。文字通り火の消えた、静まりかえったクリスマス・マーケットのテント群をあとに、日本からやって来た恋人と年明けまでウィーンへと脱出したんだった。
 この本は、豊富なカラー写真とともに、ドイツのクリスマスのようすやその歴史的・宗教的背景を簡潔に、正確に、愛情を持って紹介している。10年以上前の本だが、ドイツのことだ、今でもほぼ変わりはないだろう。クルミわり人形、リース、ろうそく、シュトレン、グリューヴァイン・・・。反復を退屈とはせず、そのなかに安らぐ。 変化しつつある世界の底を、変わらぬもので支えようとする。つまりは「大人」の生のあり方。それを感じるためにも、クリスマスの時期のドイツに行ってみるといい。

ドイツ・クリスマスの旅

ドイツ・クリスマスの旅

 東京書籍からは、同じ体裁で『ドイツ・おもちゃの国の物語』(川西芙紗・文、一志敦子・絵)、『ドイツお菓子物語』(曽我尚美・文、鈴木奈月・絵)などが出ている。