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森薫『エマ』

前回からの続きといえば続き。
英国ヴィクトリア朝で、衣服の話(コスプレ?)とくれば、このマンガ。
メイドと商家(ジェントリ)の御曹司との恋愛話で、ストーリー自体はまあ恋愛ものなのだが、後半から結末にかけて物語の密度が加速度的に高まってくるのが心地よい。「駆け落ち」オチ、にならないポジティブな結末がさわやかだ。この「さわやかさ」と「恥じらい」への志向が、この作者の資質なのだろう。
顔の描き方で、特に最初の頃はなんとなく顔の下半分、特に眼の下が間延びした感じなのだが、やがてははあと気がつく。恥じらいの表情になると眼の下のその部分に斜線が描かれ、「頬を染める」。その顔のバランスがとても良いのだ。なかでもエマのその表情がすてき。つまり、恥じらい顔のほうがデフォルトだってこと。
8巻以降は番外編なのだが、ひょっとしたら本編より番外編のほうが出来がよいかも。特に9巻の「歌の翼に乗せて」が良い。夫が朝のベッドの中で妻にせがまれて「歌の翼に」を歌う場面、思わず授業の教材として使ってしまった。

エマ 9巻 (BEAM COMIX)

エマ 9巻 (BEAM COMIX)