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坂井妙子:アリスの服が着たい


4月にブログを開設して、ずっとほおっておいた。
最初になに書こうかな、なんて考えているうちに、
余裕がなくなった。
このままだともうずっとやらない。
とりあえず、今日ちょっと書きはじめてみる。

ここは、基本的には勉強のために読んだ本のメモ。
備忘録として書くつもり。

アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生

アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生

こういうテーマはすごく好み。
児童文学はその世界のなかで自足しているわけでは(もちろん)ない。
むしろ、文学というものの中では周縁にある分野だけに、人びとのさまざまな世界観が、比較的クリアに投影される。
イギリスのこの時代に、子どもの本の登場人物たちをモデルとしたある種の「コスプレ」がはやり、そこから「子供服」というジャンルが生まれてきた、と。
ヴィクトリア朝という時代の、その不安定なところを含めたおもしろさ、アリスやグリーナウェイ、クレイン、「小公子」といった児童文学の黄金時代を支える背景、などなどが「服装」というモチーフによって浮かび上がってくるのが興味深い。
子どもという存在の活動様式に合わせた服装という面と、親(大人)の願望・欲望の投影としての服装という側面が融合するところにお子さまの「コスプレ」が生まれてくるところ、なかなかスリリング。
その背後に、産業社会における技術の発展や、その影としての社会不安、過去へのノスタルジックな思い、産業とメディアとの緊密な関係、核家族化とその裏面である「カテゴライズ化」への欲望(社会、あるいは階級が共有する「子どもらしさ」の指標を身にまとうこと)、などが存在することが指摘される。なるほど。
ウチにも小学生がいるけど、そういうのって現在でも「あるある」、なんだけどね。