ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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観に行った日記

・3月×日
神田明神は結婚式と披露宴をやった場所だがその脇にgallery bauhausという写真専門のギャラリーがある。そこで「ゼラチン・シルバー・コレクション」展を観る。ロベール・ドアノーの20世紀半ばの印象的な写真から高梨豊(高梨は今年の土門拳賞を授賞)、田中長徳杉本博司、ロバート・フランクなどなど、モノクロの美しいプリントをゆっくりと眺めた。表面の美しい光沢に背後の壁の作品が映り込み、ふと画面が立体化して吸いこまれそうになる。
見終わって神社をお参り。社殿と式場の間にスカイツリーが見える。あれはなんだな、とりとめのない東京にgoogle map のピンがささったようなものだな、オリエンテーションの目印として良いのかも。

・3月○日
娘が夕方塾に行って、帰ってくるまでにちょっとひとっ走りということでサントリー美術館へ。今日は夜8時までやっているのだ。「大阪市立東洋陶磁美術館コレクション 悠久の光彩 東洋陶磁の美」展を見る。ふたつの国宝、南宋の油滴天目茶碗と元の飛青磁花生はさすがに見入ってしまう。気の遠くなるような数が作られてきた陶磁器の中にときおり生まれた奇跡、それらがこれだけひとつところに集められていると考えただけで、周囲の壁が消えて広大な時空の中に浮かんでいるような心地がする。

・3月△日
家族で国立新美術館へ。「野田裕示 絵画のかたち/絵画の姿」展を観る。以前から気になっていた作家だが、すばらしい展覧会だった。すばらしい、というか、「好き」。絵画という平面の美術をコンセプチュアルに追究するというのがスタイルなのだが、しかしどうだろう、その画面の心地よさは。キャンバスを重ね、絵の具を重ね、サンダーで削り、ラフな筆遣いによってマチエールを作ることで産み出されるリズムと、抽象だがどこか生命を感じさせる形とその配置、深みのある、しかし暗くない色彩が形作るリズム、見ていて気持ちが大きく解放される感じを受けた。ひとつの大きな世界から削り出されたものがどかんどかんと並んでいる、という印象。娘も妻もけっこう楽しんだ様子。
4月2日まで。24日は「六本木アートナイト2012」で22時まで開館、入場無料とのこと。