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リチャード・ロード『カルチャーショック13 ドイツ人』(河出書房新社、2001年12月)

カルチャーショック〈13〉ドイツ人 (カルチャーショック (13))

カルチャーショック〈13〉ドイツ人 (カルチャーショック (13))

「カルチャーショック・シリーズ」と銘打った外国紹介本のドイツ編。こんなシリーズがあったのは知らなかった。どこかの国で英語で出ているシリーズの翻訳らしい。ドイツ編の著者はアメリカ人のジャーナリスト、映画や演劇が専門で、出版の時点で十数年ドイツに住んでいると。どうやらドイツ人と結婚しているようだ。
日本人がみたドイツ(人)紹介はあまたあれど、また別の国の人がどう見ているか、は意外と(本という形では)わからないものだ。その点、この本は面白い。
著者のスタイルなのかも知れないが、対象にのめり込むでもなく、辛辣なばかりでもなく、適度な距離感が好ましい。「外国人」がドイツで快適に暮らしていくために押さえておくべきポイントはなにか、という視点で貫かれている。
「第六章 日常ハウツー人間関係」(この章タイトル、意味はわかるけど…)の冒頭に、こうある。

これらの(法的、心理的な:引用者註)ハードルを説明する前に、あらかじめ警告しておく。これから書くことはこの本のなかでもいちばんあなたを落胆させるものになると思うので、覚悟してもらいたい。ドイツで実際に暮らしてみて現実に圧倒されるよりも、この話を読んでおいたほうがよい。
 もしあなたの探している場所が、人々がみな、親切で、助力を惜しまず、暖かくてオープンで、思いやりのあるところなら、ドイツという国を選択するのはまちがいである。このような性質は残念ながら、ドイツ社会では潤滑油とならない。これまで生活する利点をいくつもあげてきたし、このあとの章でもまだたくさんあげるつもりだ。しかしここでは自分で経験したくなくても避けることのできない否定的な要素を見ていこう。
(147-148ページ)

著者はドイツでビジネス・イングリッシュを教えているとのこと、文化ギャップを念頭に置いたコミュニケーション実践に関して意識化する習慣があるのだろう。
本のスタイルに関して、「日本版」として補った部分がどこからどこまでなのか、わかりにくいのが欠点。そういうのってよくないと思う。