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東京国立近代美術館「イケムラレイコ うつりゆくもの」展

ちょっと気になっていた展覧会に、友人を誘って行った。
はじめて作品を見た。すごくいい。好き。
静謐でおぼろでしかしどこか明確な作家の意志を感じさせる、抽象表現主義的かつ山水画的な風景。
おぼろげに、周囲の色に溶け込みつつ、浮遊する少女。
テラコッタによる彫刻では、少女たちは頭がなかったり目の中に腕が入り込んでいたり。しかしかわいらしく魅力的。あの世とこの世の境目をくぐり抜ける、クラインの壺としての少女。
印象的な青、赤。
なによりも、たたずむだけでこれだけ気持ちよさを感じる展覧会は、あまりない。フィリップ・フォン・マットという建築家が会場のデザイン・構成をしたと。そういえば、チラシの写真が素敵なのでクレジットを見たら、撮影は川内倫子だった。
最近作から次第に過去の作品へとさかのぼるように展示されている。そして前半部が圧倒的に良い。そして、それらがどこから生まれてきたのか、見て行くにつれて徐々にわかってくる。おそらく、経験というものの意味をしっかり捉えつつ思考する作家なのだろう。
イケムラレイコは現在ベルリンとケルンを中心に活動している美術家で、ベルリン芸術大学の教授も務めている。大阪外大のスペイン語科を出て、セビリヤ美術大学で学んだ後にドイツへ移った。
悩んだ末に図録を買わないできたが、じわじわと欲しくなってきた。手に入れよう。現在、「イケムラレイコSide B」というサイトが公開されている。
http://www.momat.go.jp/Honkan/Leiko_Ikemura/sideb/