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松田洋子『ママゴト 1』(エンターブレイン、2011年9月)

ママゴト 1 (ビームコミックス)

ママゴト 1 (ビームコミックス)

ちょっと美人で商店街の男たちのアイドルであるスナックのママ。親から捨てられた過去、赤ん坊を死なせた過去を持つ。
さて、彼女のフーゾク時代の昔の仲間が借金で夜逃げをし、その子ども(5歳、男)を預かることになる…。
松田洋子、読みはじめはその絵柄(特に顔の描き方)にちょっと抵抗があるのだけれど、読み進むにつれて、ああこれでいいんだな、これじゃなくちゃな、という気になってくるのがふしぎ。
「家族」なり「生活」なりと縁を切ったところで生きてきた女が5歳男児と始める二人暮らし。せつないが、しかしタイトル通り、どこまでも「ママゴト」なのだ。その距離感が、この作者の資質なのだろう。
久しぶりに「コミックビーム」を買って読んでいたらこの作品が出ていて、ちょっと気になって、で、本屋に行ったらちょうど第1巻が出ていて、で、買って読んだら、おもしろかったのだ。
ありったけの服を着せられてだるまのようになって登場し、フツウの世間を外れて生きている人間のところに預けられ、しかし天真爛漫に、ゴミで埋め尽くされた部屋の中に嬉々として段ボールと座布団のベッドを作る、もじゃもじゃ頭の5歳のタイジ。おお、これはまさにハイジではないか。
そう気づいてよく見れば、各章のタイトルページはいろいろな子ども向け映画のイメージを借りてきているのがわかる。
だがお話自体はぜんぜん明るくないのだ。二人の姿が描かれた表紙カバー(かっこいいデザインだ)を取ると、いく羽ものカラスが不吉に飛び交っている。
せつなくほのぼのと終わるようには思えない。先が楽しみだ。
そういえばタイジは登場はハイジだが、途中からモギケンに見えてきた…。