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金井美恵子『日々のあれこれ 目白雑録4』(朝日新聞出版、2011年6月)

日々のあれこれ 目白雑録4

日々のあれこれ 目白雑録4

寝る前に少しずつ、読む。楽しむ。そして読んだそばから内容を忘れていく。言葉と痛快な揶揄を味わう快楽、その感覚のみがあとに残る。
金井美恵子のエッセイを、ぼくはそうやって「消費」している。小説のほうはまた違った読み方をする。
オードリー・ヘップバーン主演の映画『パリの恋人』の話題からアステアとレスリー・キャロンの『足ながおじさん』に触れ、そしてウェブスターの『あしながおじさん』の話へと展開する(いつもながら自由自在だ)。

ウェブスターは、ジルーシャに、何に興味や関心を持っていようがいまいが女性が根本的に絶えず関心を持っているのはファッションなのだ、と大胆にも語らせたのだった。

『パリの恋人』のストーリーと『あしながおじさん』のそれとは同じだ、と金井は言う。

 ウェブスターのこの名高い少女小説は、孤児院育ちの娘が匿名の有力者の援助によって、名門バッサー女子大に入学して自立を目ざす物語と誤解されて、その名を附した育英資金もあるくらいだけれど、実際にこの小説を読んだ娘たちは誰もそうは思わないだろう。

ううむ。実は、恥ずかしながら『あしながおじさん』は未読なのだ…。『パリの恋人』は観たけれど。これは読んでみないといかん。
また、芥川賞を受賞した赤染晶子の『乙女の告白』と選考委員の「誤読」の話。そこにからめて、「アンネ・フランク」と「アンネナプキン」の関係が語られる。このあたりもおもしろい。
後出しで恥ずかしいが、ぼくもあの作品のタイトルと、『アンネの日記』がモチーフ、ということを聞いたとき、まずは、あの「アンネ」(月経、の意味での)のことが頭に浮かんだのだった。
とりとめのない感想文で申し訳ない。そう、3.11のことはあとがきで触れられている。連載(「一冊の本」にて)の3月号まで(当然書かれたのは3月以前)が収録されている、のだ。「目白雑録」というタイトルでの連載は終了したようだが、でも別の形でまた始まっていると聞いた。