ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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まんがいろいろ

山下和美『数寄です! 壱』(集英社、2011年4月)

数寄です! 1 (愛蔵版コミックス)

数寄です! 1 (愛蔵版コミックス)

ひとが家を建てる話を読んだり聞いたりするのは楽しい(ことが多い)。基本的な考え方、生き方、人格などなどが如実に現れてしまうからだろうか。
建築も好きであることだし。
山下和美はなぜかマンション暮らしから一軒家を、しかも「数寄屋」建築の家を建てようとするのである。おもしろいなあ。
登場する建築家もちょっと変だし、山下和美の語り口が自虐系っぽいし、1巻だがようやく土地の購入にまでこぎ着けたところ。さてどうなるか、続きが楽しみ。

末次由紀ちはやふる 13』(講談社、2011年6月)

ちはやふる(13) (BE LOVE KC)

ちはやふる(13) (BE LOVE KC)

仲間が大切、の青春マンガかと思いきや、実は勝負には強烈なエゴが必要であること、「師」という存在の大きな意味、など、ストレートな物語のなかにいくつかの層を埋め込んであるのがうまいし、読ませる。
あとは、主人公を「クイーン」にするまでどのように成長させるか。「天然系」の人物像のまま、最高の勝負にまで持って行けるのか。興味津々。

・じゃんぽ〜る西『パリ愛してるぜ〜』(飛鳥新社、2011年5月)

パリ、愛してるぜ〜

パリ、愛してるぜ〜

前著『パリの迷い方』(集英社)が一部で評判良く、しかし買いそびれていたら今は品切れ絶版状態で手に入らず。というところに続編が。
フランスのマンガ、BD(バンド・デシネ)にあこがれてパリに渡った作者。日本食材店でアルバイトしながら、しかしBDの世界にはマンガ家のアシスタントという制度(?)はないのであった。
おしゃれなパリ、ステキな私が体験するパリ、なんてのじゃぜんぜんなくて、男性マンガ家のクールかつあくまでも「パリでなんとなく暮らすガイコクジン」目線が、おもしろい。
パリは「すごく汚くてすごくきれい」なところが好き、と。なるほど。

槇村さとるReal Clothes 12』(集英社、2011年6月)

Real Clothes 12 (クイーンズコミックス)

Real Clothes 12 (クイーンズコミックス)

『愛のアランフェス』や『ダンシング・ゼネレーション』をリアルタイムで読んでいた男子高校生であった私、しばらくのブランクの後に『おいしい関係』あたりから再び槇村さとるを読むようになった。
前者ふたつはぼくの「少女マンガ」への接し方、感じ方のベースを作ったさまざまな作品のうちのひとつ(ふたつ)なのだけれど、オトナになってまた読み始めた作品たちは、もはやあの「少女マンガ」ではなくなっていたのだった。
たしかにおもしろいのだ。でも、一方でちょっとつらくもある。優しさも甘さも逡巡も、女性であることも男性であることも、反発も葛藤も、すべて最終的に「強さ」と「現実を見つめて生きる」ことに回収されていく。さらに、「一流」であること、そこを目指すことがすべての行動の正当性を担保している。
うまい。読ませる。しかし逃げ道がない。そしてもしかしらたら、結局、都合がよい。

森薫乙嫁語り 3』(エンターブレイン、2011年6月)

乙嫁語り(3) (ビームコミックス)

乙嫁語り(3) (ビームコミックス)

「結婚」や「愛」に関して、欧米由来の「ロマンチック・ラブ」とは異なる形態がある。文化としての「他者」を、中央アジアを舞台としてさらりと(しかし緻密な描きこみをもって)表現しているところがよいのだ。「あたりまえさ」への感覚を、気持ちよく揺るがせてくれる。今回は西洋人を前面に出すことで、そのことがより際立っている。好き。