窓から

見える少し先の川沿いに並ぶ桜は薄いピンク色のもやもやとした固まりのようで，今が満開なのだろう，しかし見に行こうという気持ちが湧いてこないのは，平日の昼間に近所をぶらぶらすることをためらう，ということもあり，ツマが熱を出して寝ているということもあり，あんなこともこんなこともあり…。
　もうすぐ始まる授業のための本を読み，授業以外の仕事のための作業をし，河出文庫で刊行が始まったシャーロック・ホームズ全集をつい手にとって読み，洗濯をし，食事を作る。自分が組み込まれている「生活」は自分がなしたいくどかの決断の堆積によって出来上がったものだが，ときにそれは確かな足場に感じられ，しかしときにそれは理不尽な束縛として心を圧し，さらにそう感じる自分の理不尽さに辟易もするのだ。
　実はまだ昨年度の書類や未整理の本などが机の周囲に積み上がったまま。机の上も半分ほどしか使えない。閉塞感の原因その1はこれ，だと重々わかってはいるのだが。