ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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『あたらしい教科書 0 学び』プチグラパブリッシング

 「あたらしい教科書」シリーズの準備編。学問系、芸術系、生活系におけるさまざまな専門家による、「学び」の体験談、アドバイス集。進学を考えている高校生や、大学に入学したての学生が読むのにちょうどいい本なんじゃないか、と思う。
 印象的なのは、そしてある程度当然でもあるのは、いたるところに「つなぐ」「つなげる」「つながる」ことのおもしろさ、という発言が出てくることだ。数学の確率論とジョン・ロールズやF・K・ディックをつなげて世界を語ってしまう小島寛之や、音楽を他の「文化」とをどんどんつなげていこうという小沼純一(たとえばバッハ・・・サラバンド・・・スペイン・・・中米・・・コロンブス・・・グローバリゼーション)、読書を通じて自分なりの本と本とのつながり=「本の星座」ができてくるはず、と言うのは豊崎由美、建築と音楽、社会、宗教などとをつなげていく五十嵐太郎、などなど。
 少し前の新聞に、洗足学園高校の生徒たちが「全国高校生歴史フォーラム2007」という催しで「鬼の登場」という研究で優秀賞を獲得、という記事を読んだ。メンバーのひとりが、おのおの調べてきたばらばらの情報が、だんだんと一本の線でつながっていくことに感動した、というようなことを言っていた。そう、つながるっていうことが、学問の醍醐味だ。ぼくはドイツ語の授業でも文学の講義でも、個別の要素をただ伝えるだけじゃなく、なにかとなにかがつながる、ということをなるべく示していこうと思っている。そこに驚きや快感を感じたら、それが次のステップへ進む力となり、世界をマッピングするためのピースのひとつとなるだろうから。